研究概要 |
本研究では,東南アジア地域の重要な産業基盤であるジャワアナツバメ(Aerodramus fuciphagus)の巣の持続的な利用を最終的な目的として,土地利用と採餌特性の関係を明らかにすることを目標とした.特に,都市部・田園地帯の個体群において,採餌する餌の構成比の違いと,採餌した土地利用環境に着目した.KuchingとBintuluの2つの地域で,アナツバメの巣を養殖するための人工的なハウスにおいてアナツバメの糞を採取し,また周辺植生において植物の葉のサンプリングを行った.糞に含まれる昆虫の5割以上は膜翅目であったが,都市部では双翅目もみられ,食性の違いが示唆された.また,糞と植物の安定同位体比δ13Cおよびδ15Nの解析から,都市部の糞の炭素同位体比が田園地帯の糞よりも高く,特にBintulu地域では,比較的高い炭素同位体比をもつマングローブ林などで採餌している可能性が示唆され,沿岸地域が採餌環境として重要であることが推測された.
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