研究課題/領域番号 |
22720071
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
芸術学・芸術史・芸術一般
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
高岡 智子 甲南大学, 研究員 (80552835)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2011年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2010年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 映画音楽 / 文化政策 / 東ドイツ / ハリウッド |
研究概要 |
本研究の中心課題である初期ハリウッドと東ドイツの映画音楽は、マーケティングや文化政策といった政治経済の影響のもとに制作されてきた。そのためこれらの比較研究は現在の音楽文化ないし文化政策を考えるうえで重要な足がかりとなる。平成22年度は、1970年代の東ドイツの映画音楽に焦点を当て資料調査およびインタビュー調査を行った。とりわけ、ウルブリヒト政権下では「野蛮」とされたロックが1971年以降のホーネッカー政権では「国家政策の重要なファクター」へと読み替えられた過程に注目した。そのなかでロックを映画音楽に導入した映画住に『パウルとパウラの伝説(Die Legende von Paul und Paula)』(1973))を中心に分析を行った。1)ベルリンの連邦公文書アーカイブ(Landesarchiv)の調査では、映画『パウルとパウラの伝説』に関する政府側の公文書を発見し、社会主義に相応しくないキャラクター設定やセクシュアルな問題について批判があったことが確認された。2)ポツダムのドイツラジオアーカイブ(Deutsches Rundfunkarchiv)の調査では、シャンソン、ロック、クラシックを含む音楽ジャンル「娯楽芸術(Unterhaltungskunst)」が東ドイツ国家公認の芸術として雑誌やラジオ、テレビによってプロパガンダされていたことが確認できた。3)『パウルとパウラの伝説』の映画音楽を作曲したペーター・ゴットハルトにインタビューを行い、当時の映画製作が共同作業で行われていたこと、映画音楽にロックを導入したのは主人公のキャラクターに合わせるためであったことが明らかになった。以上の海外調査によって、東ドイツの映画とその映画音楽には、社会主義イデオロギーのプロパガンダとしての側面と、エンターテイメントとしての側面との間で拮抗しながら製作が行われていたことが明らかとなった。
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