研究課題
若手研究(B)
アムール川からオホーツク海および親潮域にかけての、溶存鉄を通じた巨大な生態系の保全に対して、いかなる国際的法制度が妥当および有効であるかについて、特にラムサール条約の適用可能性という観点に着目して検討した。その際には、主に文献および資料の収集・整理・分析を通して、ラムサール条約の適用範囲およびその射程、また国内実施過程とその実効性に関する理論的検討を行った。(1)日本および米国の研究機関において文献資料収集を行い、ラムサール条約が近年採用し始めている生態系アプローチや統合的流域管理(IRBM)に着目しながら、湿地のみでなくその周辺の河川部分をも合わせて統合的に管理する傾向を実証的に分析し、さらにこのようなアプローチが「海」の生物資源の保護まで射程に入れる可能性があるかについて理論的検討を行った。(2)2010年11月1、2日に北海道大学において行われたアムール・オホーツクコンソーシアムの準備会合国際ワークショップにおいて、日本、中国、ロシア、モンゴル、国連地球環境基金(GEF)の研究者および実務家と議論を行い、北東アジアでの湿地生態系管理の可能性について検討を行った。そこでは、ラムサール条約を統合的管理の観点から効果的に実施するためには、隣接国である中露蒙の北東アジア諸国が実施面で協力を強化することが重要であることが理解された。(3)米国ワシントンDCにおいて二度の研究発表の機会を得、北東アジアの環境保護に精通する米国の研究者と意見交換を行い、上記の理論的分析が実際の北東アジア国際関係において適用可能かどうかについての知見を得た。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
The Dilemma of Boundaries : Toward a New Concept of Catchment(Taniguchi, M., Shiraiwa, T.(eds.))(Springer)