研究概要 |
本研究課題では,輸送ネットワークの国際展開とともに,イノベーション活動の国際展開(技術ネットワークの空間的広がり)を広義の輸送費とした上で,輸送費の変化が産業クラスターの形成や物流のあり方にどのような影響を与えるのかを分析した。本研究課題では,主に西日本地域(中四国・九州)と韓国を調査対象として,それらの主要港湾をはじめとする輸送インフラや産業集積(産業クラスター)を調査した。また,これらの地域を分析対象として,センサスデータやアンケートデータを使用した計量分析を行った。研究成果として,(1)国内物流においては,金属機械工業品と化学工業品では,発地側の産業集積の規模の方が国内物流の増加に与える影響が強く,反対に,軽工業品では,着地側の産業集積の規模の方が国内物流の増加に与える影響が強いことが示された。また,輸送費や輸送時間の方が(道路の実延長という)地形の影響を含んだ輸送距離よりも,輸送抵抗の変数として説明力があることが示された。(2)中小企業のイノベーション活動の国際展開(技術ネットワークの空間的広がり)は,海外に繋がっていること,あるいは,(研究活動に関して)首都圏に繋がっていることが,自らの存続に寄与していることを示した。
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