研究概要 |
わが国の公的部門では,1990年代後半から,一連の行政経営改革が進められてきた。行政経営改革のなかで本研究が注目するのは,業績情報と財務情報の関連づけ,とくに成果と予算を関連づける業績予算の構築である。業績予算には業績情報の種類,予算の歳出区分,予算プロセスといった設計変数があるが,業績予算は標準化された測定技法のようなものではなく,多様な設計アプローチの組み合わせからなる。そこで本研究は,地方自治体および政府(国)における近年の業績予算の構築過程を振り返り,そのなかで複数の設計変数がどのように組み込まれてきたのかを検討した。その結果,政府(国)における業績予算の構築過程には,予算プロセスに関与する関係者の複数化と政治家の関与の深化という一貫したパターンがみられることがわかった。このようなパターンは,日本の国家統治や民主主義のあり方に影響を与える可能性がある。
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