研究課題/領域番号 |
22730482
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会心理学
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
加藤 潤三 琉球大学, 法文学部, 准教授 (30388649)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2011年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2010年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | コミュニティ価値 / 住民参加 / 地域住民 / コミュニティへの態度 / 地域社会 |
研究概要 |
本研究では、「住民が地域コミュニティに対して求めるニーズであり、地域での実際的な生活において重視する地域の諸要素」を『コミュニティ価値』と定義し、現在の地域コミュニティにおいて住民が持っているコミュニティ価値にはどのようなものがあり、どのような構造になっているのかについて検討を行うことを主目的とする(研究1)。またさらに、コミュニティ価値を量的に測定できるよう尺度化し、地域住民のコミュニティに対する態度や住民参加に及ぼす影響についても検討を行う(研究2)。 以上の目的を検証するために、2010年度に研究1を、2011年度に研究2を実施した。まず研究1では、地域特性の異なる3地域において質問紙調査を実施し、最終的に689名(有効回収率46. 7%)から回答が得られた。コミュニティ価値を「あなたが現在、地域の生活で重視していることは何ですか?(自由記述)」という質問項目で尋ねたところ、1507の有効コメントが得られた。これらのコメントをKJ法によって分析した結果、54の小グループと、それらをまとめた16の大グループに分類された。主な大グループとして、「交通」、「自然」、「教育・子育て」、「人間関係」、「商業施設・買物」などが挙げられた。この結果より、住民が地域コミュニティにおいて重視するコミュニティ価値は、単一的ではなく、多面的であることが示された。また大グループの関係性より、コミュニティ価値には大きく分けて、(1)「合理性・利便性-情緒性・社会文化性」次元と、(2)「豊かさの向上-持続可能性」の次元があることが示された。 次に研究2では、日本全国を対象としたWeb調査を実施し、651名より回答が得られた。研究1で得られた大グループに対し、回答者は重視する程度に応じて得点を配分するよう求められた(100点を配分)。配分された得点をもとにクラスター分析を行ったところ、住民のコミュニティ価値は、「利便性」・「コミュニティ問題」・「情緒性」・「セーフティネット」・「居住性」の5クラスターに分類された。各クラスターと住民のコミュニティに対する態度・住民参加との関連を検討した結果、特に「利便性」と「情緒性」で関連が認められた。ただし両者では関連の方向性が異なっており、「利便性」はコミュニティに対する態度や住民参加と負の相関、「情緒性」では正の相関であった。つまり、コミュニティにおいて住民が利便性を追求するほど、コミュニティに対する態度や関わりが低下するのに対し、情緒性が増すほどコミュニティに対する態度や関わりが増すのである。
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