研究概要 |
不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)は睡眠薬治療抵抗性の不眠症患者に対して有効であり,実施直後の臨床的な改善効果は6割程度と言われる一方,フォローアップ期間における改善の維持効果は約5割に落ちてしまうことが報告されている。本研究の目的は,(1)不眠症の発症,再発のリスクファクターと言われているstress-induced sleep reactivityを測定する尺度Ford Insomnia Response to Stress Test(FIRST)日本語版の作成,(2)FIRST日本語版を用いた不眠症のリスクファクターの検討,(3)CBT-IによるFIRSTおよび不眠症状の短期・長期的な改善効果に関する検討を行った。その結果,FIRST日本語版は信頼性・妥当性を十分に有していること,FIRSTで測定されるstress-induced sleep reactivityは,不眠症の発症・再発予防のマーカーとなりうること,そして,そのsleep reactivityはCBT-Iによって軽減可能であることが示唆された。
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