研究概要 |
【H22の目標】 発達障害のある高校生の就労準備に向けた親の家庭教育用サポートツールのあり方を構想する 【成果】 (1)キャリア教育・職業リハビリテーションの文献から就労準備に向けた「指導内容」に関するアイディアを抽出し,寺田(2008)の就労準備に向けた学習内容リスト(大項目6項目,中項目26項目)に沿って整理・項目化した後(168項目),親が家庭で取り組み可能と考えられる項目を選定した(全29項目)。 (2)就労準備に向けた実践に先駆的に取り組む「親の会」の会員11名に対し,就労準備に向け「家庭で学習機会を設けやすい内容,設けにくい内容」を尋ねる質問紙調査を実施した(寺田(2008)の学習内容リストの中項目を利用)。その結果,取り組みやすい内容としては「働く上で必要な生活面での態度やスキル」「働くことの必要性」「高校卒業後の選択肢とその特徴」などが挙げられ,取り組みにくい内容としては「雇用率制度を活用した就職で多い職種とその特徴」「雇用率制度を活用した就職に必要な手続き」などが挙げられていた。 (3)発達障害のある高校生段階の子どもを持つ親4名に,寺田(2009)の就労準備ワークブックを用いた家庭教育を依頼し,利用に対する評価を求めた。その結果,就労準備に向け役立ったという意見が挙げられる一方で,思春期の親子対話の難しさなども挙げられた。また,就労準備ワークブックで学んだ知識を実際に行動に移せるようにするために必要とされる新たな教材のニーズも把握された。 (4)(1)~(3)をふまえ,i就労準備に向け家庭で必要とされる様々な学習内容・指導内容のうち,親が優先的に取り組む必要がある内容を検討し,計画を立てるためのシート,iをふまえ,ii親が実際に家庭教育を行う際に利用できる教材案を構想した。発達障害のある子どもの親が置かれる状況とニーズをふまえた上で教材のあり方を検討することができた点が大きな成果である。
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