研究概要 |
宇宙の暗黒物質の存在量と,始原リチウム7の欠損問題を同時に解決する提案として,最小超対称標準模型におけるビッグバン元素合成を分析した.本シナリオで両問題の同時解決の鍵となる負荷電スタウの初期宇宙における存在量をボルツマン方程式により追跡するとともに,スタウと原子核の相互作用としてヘリウム4の破砕反応およびスタウのフレーバー非保存過程を新たに考慮した.両問題を同時に説明しうるパラメータ領域があることを示した.その許容領域は小さく,本シナリオは最小超対称標準模型の制限力が高いシナリオといえる.また,本研究に関連してレプトンフレーバーの破れを探索しうる新たな過程を提案した.
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