研究概要 |
磁性体の持つスピンの長距離秩序が量子力学的揺らぎにより融解した量子スピン液体状態は,長年にわたって論争の続く未知の状態である.我々は極低温における熱伝導率測定により,幾何学的フラストレーションを持つ二次元三角格子のスピン配列を持つ有機物におけるスピン液体状態を調べた結果,ギャップを持たない連続的な励起を持つスピン液体状態が存在することを見出した.特に準粒子がほとんど散乱を受けずに熱を運ぶことや,磁場によって誘起される磁気的でギャップを持った準粒子も共存することなど,スピン液体の興味ある性質の一端が明らかになった.
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