8Channel Constant Discriminatorと高速プレアンプを購入しDelay Line Detector(DLD)の時間、位置分解能の向上を行った。位置分解能は0.2mm、時間分解能は500psを実現し、DLDを実際に測定に用いる事が出来る状態になった。その後He(I)光源を用い、Arの光電子画像をDelay Line Detectorを使用して観測した。Arの3p軌道の光電子画像を得ることに成功したがフォスファースクリーン付きのMCPとCCDで撮影する場合と比べてDLDで光電子画像を撮影した場合は非常に大きなバックグラウンドがのる事が分った。この理由はMCPに掛ける印加電圧がファスファースクリーンで測定する場合よりDLDで測定するときの方が大きく掛ける必要がある事から生じると考えられる。真空紫外光源を用いてDLDを使用する場合はバックグラウンド対策を十分に行う必要がある事が判明した。目的を達成するためには真空紫外光源を用いるより色素レーザーなどを用いて多光子共鳴イオン化に円偏光を用いる方が実験的に容易であると言える。(共鳴イオン化では他のガスや電極などを電離しないためバックグラウンドが少ない。) 標的ガス導入用のバルブの改良や真空度を上げることにより背景ガスからのバックグラウンドを低減した。そのために必要な真空部品やベーキング用の温度調整機の購入を行いセットアップの構築を行った。残された課題はパルス光源を用いて二次元イメージングではなく三次元イメージングを行う事である。DLDの時間分解能は十分確保されているため電極形状を詳細に検討すれば三次元光電子イメージングを実現できる状況まで来ている。
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