研究概要 |
本研究はブレンステッド酸触媒による不活性C(sp3)-H結合およびC(sp^2)-H結合を活性化するという新しい概念により、分子骨格を変換する新しい分野を開拓する研究を行うことを目的とした。本研究では、新規不活性sp^3炭素-水素結合切断によりエンイン化合物の連続的環化反応の開発に成功した。様々なブレンステッド酸触媒とエンイン出発物質の検討により、TfOHあるいはTf_2NH触媒存在下、1, 6-または1, 7-エンインを1, 2-ジクロロエタン中で反応させると種々の多環性化合物が良好な収率で得られた。本反応はブレンステッド酸触媒を用いた不活性C(sp^3)-H結合を切断する初めての報告例である。また、TfOH酸触媒の存在下室温で、様々なアレニル1, 7-エンインのアセチレンーカチオン環化反応とC(sp^2)-H結合切断の効率的な連続的環化反応が進行し、有機合成中重要な骨格である新規多環性生成物が高収率で得られることを見出した。さらに、TfOHなどの強酸の存在下、アニソールのオルト位にアリールジインを有する化合物のジインの分子内環化とメトキシ基の炭素-酸素結合の切断による連続的環化反応が効率的に進行することを見出した。
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