研究概要 |
本研究の成果は,東日本大震災のものも含めて地震火災の出火要因とその対策についてである.特に東日本大震災では 330 件の地震火災のうち,半分が津波火災と言われており,北海道南西沖地震でもみられたこの現象の説明と対策方針の確立が急務と考えた. 筆者らによる現地調査と消防・消防団・住民によるヒアリング,実験,アンケートの結果,出火の原因は主に,破壊された家屋によるもの,プロパンガスボンベによるもの,自動車によるもの,と推定されることがわかった.またその対策は,なによりもまず,屋外タンクなど危険物施設の津波対策が挙げられる.気仙沼における実例のように,出火源が何であれ,屋外タンクが流出して海上で火災が発生し,燃えた瓦礫が移動することで広域的な被害を及ぼす可能性もあり,津波被災エリア以外や津波避難ビル等の危険性も増大する.それゆえ,タンクのかさ上げや地中化,再配置など屋外タンクの内容物を津波で流出させない対策が求められる.続いて,残された市街地,つまり高台への延焼を最低限防ぐための戦術,安全な避難場所の確保などが有効と考えられる.
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