研究概要 |
無機ナノフィラーの表面改質を要しない簡便なポリプロピレン(PP)/無機系ナノコンポジットの創製と耐衝撃性に関する基礎研究である。シリカをフィラーとした場合,ナノサイズのシリカゾルを用いて孔構造を制御した易解砕性シリカナノ粒子凝集体を予め作製し, PP融体との高せん断混練により,一次粒子レベルまでシリカ凝集体を解砕・分散させる手法を用いて, 190 nmのシリカ一次粒子単位で均一分散させることに成功した。こうして得られたナノコンポジットの耐衝撃性は,フィラー無添加のPPと比べて向上することが分かった。PPの耐衝撃性向上に対するシリカナノ分散の効果として,シリカ分散によりPP母相の結晶組織が微細化し,衝撃試験により生じる亀裂の伝播が妨げられたこと, PP母相と濡れ性の悪いシリカとの界面近傍でのボイドの生成・成長により衝撃エネルギーが吸収されたことが挙げられた。
|