研究課題
若手研究(B)
本研究課題は南極海産甲殻類(特にオキアミ類)と原生生物グレガリナ属の寄生関係が、宿主の分布特性や南極海生態系への影響をはかる指標として有用であるかを検証することを目指した。これまで内部寄生虫の報告が為されていなかったコオリオキアミから、2種のグレガリナ寄生種を確認した。遺伝子解析から1種はナンキョクオキアミに寄生するグレガリナと同種であり、他方はその近縁種であることが明らかとなった。両宿主に寄生するグレガリナにおいては、消化管内分布は類似していたが、寄生数はナンキョクオキアミの方が多い傾向が見出された。これは体長(寄生スペース)に起因すると考えられた。また生息深度による寄生率の違いは認められなかった。一方、コオリオキアミで確認された近縁種は、寄生数が少なく、後腸前部に集中分布していた。ナンキョクオキアミでは全く見られないことから、沿岸域にのみ生息するコオリオキアミの生活史に特化した寄生種であると考えられた。そのため、生息水温や食性の違いをはかる指標として、本寄生種は有用であると示唆された。
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