研究課題
若手研究(B)
糖鎖は、細胞膜上の多数のタンパク質や脂質と協調的に働くことで、適切なシグナル伝達の場を提供していると考えられる。特に細胞接着分子インテグリンは細胞増殖因子のシグナル伝達に不可欠だと考えられている。本研究では、糖鎖不可に注目し、細胞接着活性の認められる糖鎖欠損変異体を用いて、(1)インテグリンを中心とした複合体の形成に糖鎖はどのように関与しているか。(2)インテグリン上に付加された糖鎖を介した複合体形成の特異性。(3)糖鎖を介した複合体の形成は、インテグリンの増殖・分化シグナルにどのような影響を与えるか(4)癌遺伝子はインテグリンの糖鎖構造にどのような影響を与えるかを解析を行う。インテグリンの糖鎖変異体の周りにはCD44、膜貫通型フォスファターゼなどの特異的な分子が存在していることが22年度の研究により示唆されたた。23年度においてはCD44とインテグリンが共免疫沈降できることを確認した。糖鎖との関連を示すために糖鎖変異体においてCD44の過剰発現細胞の作成を試みた。免疫沈降による解析では糖鎖変異体と野生型の違いを認めることができなかった。これは弱い相互作用であるからと考えられた。癌遺伝子GOLPH3のノックダウン細胞においてインテグリンに付加されたN-結合型糖鎖上のシアル酸糖鎖が現象していることをレクチンプロット実験により確認しているが、本年は細胞全のN-型糖鎖をピリジルアミノ化してHPLCにより解析し、ノックダウンによりシアル化糖鎖が減少していることが分かった。さらに、ノックダウン細胞にGOLPH3遺伝子を再導入した細胞においてシアル酸の付加が回復傾向にあった。また、マススペクトル解析からこれらのことは確認された。シアル酸転移酵素の発現量を検討したところほとんど遺伝子発現に影響が無かったため、糖転移酵素あるいは糖ヌクレオチドの細胞内濃度に影響を与えていることが示唆された。
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http://www.tohoku-pharm.ac.jp/laboratory/drg/publication.html