研究概要 |
イオンポンプは,生体膜を隔ててイオンを輸送する膜タンパク質の一種であり,ATPを加水分解して得られる化学エネルギーを用い,濃度勾配に逆らってイオンを能動輸送する。近年,形質膜中でカチオン輸送を行うP型ATPaseの中の一つである筋小胞体カルシウムポンプ(SERCA)の結晶構造解析が進み,ダイナミックな構造変化を伴うイオン輸送の実体が明らかにされつつある。 本研究では,そうしたP型ATPaseの反応動態を一分子レベル・リアルタイムスケールで解析し,その分子反応機構に迫ることを目的に,液中高速原子間力顕微鏡を利用した実験・観察系の構築を行った。これにより,ATP依存的に上下に構造変化をくり返すSERCA及び細胞膜ナトリウムポンプの様子をダイレクトに捉えることに成功した。
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