研究課題
若手研究(B)
体性感覚地図の進化過程について解析を進めた。まず、体性感覚地図の形成におけるマスター制御遺伝子であるHoxa2相同遺伝子ならびにその下流遺伝子であるDrg11、EphA4などの発現パターンの解析を、ニワトリ胚、カメ胚を用いて解析した。その結果、体性感覚地図形成に関わる遺伝子群はニワトリ、カメ、マウスで大きく異なっており、マウスではロンボメア2で形成される三叉神経主知覚核(PrV)は、ニワトリではロンボメア1で形成されることが判明した。このことから、体性感覚地図を作る仕組みは羊膜類の系統の中でそれぞれ異なり、顎領域の多様化に合わせるように神経系にも改変が為されている可能性が示唆された。さらにカメでは終脳.視床での連絡について解析し、感覚神経回路の進化について考察した。一方、ヤツメウナギやカエルなどの無羊膜類でも末梢神経系(頭部三叉神経ならびに体幹部脊髄神経)と中枢神経系(延髄・小脳)の両方に注目して研究を進めた。その結果、円口類のヤツメウナギの延髄にはPrVが存在せず、PrVは顎の進化に伴って獲得された可能性が示唆された。さらに、ナマズ胚、ヒラメ胚、フグ胚で三叉神経の形態を解析し、ヒラメ胚では三叉神経の形態とSema3Aの発現の関係性について考察した。さらにフグでは行動解析により孵化仔魚の神経系の機能についても考察した。
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