研究課題
若手研究(B)
本年度は、前年度に確立した内在性のHNF4の精製・同定系を用いて細胞内のHNF4が実際脂質付加修飾を受けていることを検証・確認することを目的として研究を行った。まず内在性のHNF4タンパク質を抗体精製により精製・濃縮し、LC-MS/MSにて測定を行い、得られたスペクトルをコンピューター解析にかけ翻訳後修飾を検討したところ、リン酸化、アセチル化、メチル化、ユビキチン化を含む14か所の翻訳後修飾サイトの同定に成功した。この結果は、今年度に原著論文として発表を行った。(Yokoyama et al., Biochem Biophys Res Commun, 2011, 410(4): 749-5)しかしながら、この中に脂質修飾は含まれていなかった。この原因として、内在性HNF4のうち脂質付加修飾を受けているものの割合が検出限界以下である可能性も挙げられる。そこで、現在はより感度の高いRI化合物によるラベルによる検出を試みている。また、内在性HNF4の脂質付加修飾をさらに検討するために、脂質付加修飾を受けたタンパク質をclick-it反応を用いた新たな手法により標識する方法を採用した。標識されたタンパク質をアビジンビーズにより濃縮し、LC-MS/MSを用いたプロテオミクにより網羅的に同定する手法を用いて検討を行った。その結果、核抽出液画分よりHNF4をはじめ、ヒストンタンパク質といった興味深い因子群が脂質付加タンパク質として同定された。この結果は、本研究課題の当初の想定よりも核内脂質付加修飾がグローバルな修飾であることを示唆している可能性があり、現在これらの結果を発表すべく準備を行っている。
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