研究概要 |
水温は変温動物である魚類の生理現象を左右する環境因子であるため,地球温暖化に伴う温度上昇は,生活史(成熟年齢,回遊行動など)の変化,ひいては個体群過程に影響すると考えられる。本研究では,(i) サケ科魚類の海洋生活期における適水温帯の選択行動,(ii) サクラマスを例として河川生活期の水温上昇に伴う生活史形質の変化と資源変動への影響について分析した。その結果,海洋生活期においては能動的に適水温帯を選択するのに対し,河川生活期においては水温変化に応じて生活史形質(降海年齢・成熟年齢)が変化した。水温上昇に伴う生活史形質の単純化は資源変動の幅を増大させる可能性が示唆された。
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