研究概要 |
硫黄を含むメチオニンをシステインに代謝する経路の2酵素Cystathionine β-synthase (CBS)とcystathionine γ-lyase (CSE)の欠損は,前者は重篤な病態だが,後者は顕著な症状はない。マウスでは両酵素は肝臓や腎近位尿細管に強く発現するが,本件は不明点の多い腎での生理的役割を探索した。CBS欠損マウスでは毒性の高いメチオニンの尿中排泄の効率が低いのに対し,CSE欠損マウスではCBSによる代謝物の排泄効率が高く,両者の病態差に関わると考えられた。また一見正常なCSE欠損マウスでも妊娠高血圧腎症様の病態があった。両酵素は血管弛緩因子の硫化水素を産生するが,腎内の硫化水素は両酵素の発現部位に高濃度に存在しており,病態への関与が考えられた。
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