研究課題
若手研究(B)
地域住民におけるうっ血性心不全のバイオマーカーに関する疫学調査を実施した。国内2つの地域で合計3545人について、NT-proBNP(pg/ml)を測定した。その分布は、55未満が59%、55-124が29%、125-499が11%、500-949が1%、950以上が0.5%であった。NT-proBNPが500までの範囲では、年齢が高くなるほどNT-proBNP値も上昇した。500以上では年齢との関連はなく一定であった。また、NT-proBNPが950までの範囲では、NT-proBNP値が高いほど高血圧の有病割合も段階的に上昇したが、950以上では低下した。糖尿病治療、心房細動、心電図異常、心不全治療、心疾患治療、夜間呼吸困難、労作時呼吸困難は、いずれもNT-proBNPと正相関を示した。特に心電図異常(異常Q波、高度ST-T変化、完全左脚ブロック、心房細動のいずれか)はNT-proBNPと強い相関を示した。以上より地域での日本人一般集団においてNT-proBNPが種々の循環器リスクファクター、特に心房細動や心電図異常と強い関連を示すことを明らかにした。NT-proBNPの高度高値者(500pg/ml以上)の一般集団における有病割合は2%程度と多くなかったが、中程度高値に相当する125-499pg/mlの者への健康指導方針が確立されれば、NT-proBNPの健診への導入が一般集団における心不全予防に有効となる可能性がある。
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