研究課題
若手研究(B)
白血病は分化段階や増殖能力が異なる様々な細胞で構成されているが、移植してもその一部の細胞のみが再び腫瘍を形成できることから、白血病はその一部の細胞すなわち白血病幹細胞に由来し、これが自己複製しつつより分化した増殖能の限られた白血病細胞を生み出し、白血病の病態を形成すると考えられるようになった。白血病幹細胞は、癌治療において最も重要な標的であるが、抗がん剤へ抵抗性が高く白血病の難治性や再発の原因となると考えられている。この白血病治療において最も重要な標的である白血病幹細胞は、正常造血幹細胞と同様に特殊な骨髄微小環境(ニッチ)による制御を受けて自己複製、生存をしていると考えられるが、その実体は十分明らかではなかった。本研究は、慢性骨髄性白血病モデルマウスを用いて、(1)慢性骨髄性白血病モデルマウスでは、病気の進行に伴い骨髄のケモカインCXCL12の発現低下など骨髄微小環境に異常をきたすことを明らかにした。(2)この異常な骨髄中で、白血病幹細胞が増加することを明らかにした。(3)さらに骨髄におけるBリンパ球造血が障害され、このときIL-6などの炎症性サイトカインの蛋白濃度が上昇していることを明らかにした。(4)白血病幹細胞を含む未分化白血病細胞の骨髄微小環境における局在およびそのニッチ構造を明らかにした。これらの結果は、骨髄微小環境が白血病治療法の標的となりうることを示唆し、新たな白血病治療法開発のための基礎をなすものである。
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