研究概要 |
平成22年度関節リウマチ分子学的発症の検討 1.PADI mRNA1制御に重要な3'UTR配列の同定に関する研究 PADI2とPADI4のmRNAの差異として、mRNAの3'UTRの長さが著しく異なる事実が知られている。PADI2発現制御の一部が転写後のイベントである点に着目し、mRNA制御メカニズムに基づいた3'UTRを介したPADI2とPADI4の制御について以下の研究を行った。 (1)PADI2,PADI4の3'UTRのクローニングを開始。既に、滑膜線維芽細胞、骨肉腫由来細胞株、肝臓癌由来細胞株からのcDNAを得た。今後、high federity酵素を使用したPCRにより、PADI2,PADI4の3'UTRをレポータープラスミドにクローニングする予定である。 (2)Harvard Medical School, Brigham and Women病院リウマチ科のPaul Anderson研究室からTet-off制禦性reporter assayを試みているが、これを可能にするDIGシステムによるノザンプロットシステムの至適条件を模索中である。 2.CAFS : Citrullinated Antigen from Fibroblast like Synovial cellの作成 滑膜線維芽細胞由来のシトルリン化蛋白質をArthritogenicな抗CCP抗体産生を誘導する抗原、すなわちRAの血清学的発症を誘導する過シトルリン化抗原として焦点を当て、Citrullinated Antigen fromFibroblast like Synovial cell : CAFSとし、その病的意義について以下の研究を行った。 (1)Synovial stromal cellを購入し、無刺激、TNF-a刺激、IL-6刺激24時間後の細胞上清とLysateを回収し、細胞上清はアセトン沈降法にて精製した。 (2)上記で得られたサンプルにPADIのReaction buffer, recombinant PADI2, recombinant PADI4を加え37℃で90分間反応させ、CAFSを作成した (3)作成したCAFSは前回報告時点で確立したアッセイであるシトルリン化蛋白のキットを用いたウェスタンブロッティングにより蛋白発現の確認に成功した。 (4)シトルリン化が確認されたCAFSを用い、抗CCP抗体陽性RA患者血清と抗CCP抗体陰性RA患者との免疫沈降法により、現在より特異的なシトルリン化蛋白の対応抗原の同定を試みている。
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