研究概要 |
アポリポ蛋白E(ApoE)をコードする対立遺伝子ε4alleleは、アルツハイマー病(AD)では高率に見出され、ADの危険因子であることが明らかになっている。一方,レビー小体型認知症(DLB)においてもε4alleleの頻度が高いことが剖検研究において報告されている。しかし臨床診断例のDLBを対象とした報告は少ない。そこでDLBおよびADと臨床診断された症例、normal controlを対象にApoE4キャリアーとε4alleleの頻度を調べた。normal control群では、ApoE4キャリアーは18. 3%、ε4allele頻度が9. 7%であった。Late onset AD(LOAD)群ではApoE4キャリアーは47%、ε4allele頻度が27%であった。Early onset AD(EOAD)群ではApoE4キャリアーは50%、ε4allele頻度が31%であった。DLB群ではApoE4キャリアーは42%、ε4allele頻度が24%であった。これまで報告されているLOAD, EOAD剖検例のApoE4キャリアーは47%から59%、ε4allele頻度は27%から37%で、今回の結果は剖検研究の結果に近い頻度を示していた。一方、DLBについては報告数は少なく、剖検例ではApoE4キャリアーは35%から65%、ε4alleleは19%から36%と幅がある。臨床からの報告は,ほとんどなく,かつ剖検例での報告と結果に乖離がある。今回の我々の結果は,剖検例の頻度に近くDLBにおいてもε4alleleはADと同様に危険因子であることが臨床的にも確認された。
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