研究課題/領域番号 |
22791162
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
堤 香織 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 助教 (80344505)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2011年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2010年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 放射線治療 / ニューロピリン1 / インテグリン / 細胞接着 / 再増殖腫瘍細胞 / 血管新生 |
研究概要 |
放射線治療は癌の非侵襲的治療法の一つとして非常に重要で有効な治療方法の一つである。近年の著しい放射線治療技術の進歩は治療成績を大きく向上させた。しかし、これらの技術進歩にも関わらず、放射線治療後に発生する再増殖腫瘍細胞の制御は困難である。再増殖腫瘍細胞は、照射前の腫瘍と比較して悪性度が高く、患者の生命予後を悪化させる。残念ながら、腫瘍の再増殖を引き起こす分子メカニズムは未だに解明されておらず、我々のグループが僅かに報告しているのみである。我々は、再増殖腫瘍細胞の性質を分子レベルで理解し、制御することが放射線治療による寛解率を改善する上で重要な要素であると考える。本研究では、放射線照射を生き残る腫瘍細胞IR株内でニューロピリン1が果たす役割について解析した。ニューロピリン1は主に血管新生と細胞運動に関わる分子として知られており、本研究でもその両者への関与の可能性について検討した。IR株ではニューロピリン1遺伝子の発現量が親株と比較して高かったが、タンパク質レベルでの発現量に差はみられなかった。また、正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVECs)を用いた脈管形成能も親株、IR株とも同程度であった。血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の細胞外分泌量にも有意差は認められなかった。一方、ニューロピリン1分子の細胞内局在の違いを免疫染色によって確認した。親株、IR株ともにvesicle様の構造物が観察されたが、その量はIR株では減少していた。vesicle様の局在とEEA1の局在は一致しなかった。また、ニューロピリン1とα5β1インテグリンとの結合は親株、IR株ともみられなかったが、αvβ3インテグリンについては親株、IR株とも相互作用が観察された。しかしながら、親株とIR株の間でニューロピリン1とαvβ3インテグリンの結合能に差はみられなかった。ニューロピン1はIR株において、血管新生への関与は認められなかったが、インテグリンを介して細胞内局在の変化に関与し、IR株における運動能亢進になんらかの役割を果たしている可能性が考えられた。
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