研究課題
若手研究(B)
ヒト大腸癌固形腫瘍TK4を同所(盲腸壁)へ移植し、抗vascular endothelial growth factor(VEGF)中和抗体治療を行ったところ、腫瘍血管密度が低下し移植腫瘍が縮小したが、完全には増殖阻害されなかった。そこで同治療中の移植腫瘍(ヒト組織)における遺伝子発現変動をマイクロアレイ(human chip)にて解析した。抗VEGF抗体治療により移植腫瘍で発現が亢進した97遺伝子のうち、最も発現変化が大きかったstanniocalcin 2(STC2)に注目。STC2はhypoxia inducible factor-1(HIF-1)の標的遺伝子であり、低酸素環境で発現が亢進することが知られている。また、STC2は癌の浸潤転移に関与するとされる上皮間葉行(epithelialmesenchymal transition : EMT)を誘導することが最近報告されている。さらに、Gene SetEnrichment Analysis(GSEA)による発現解析では、EMT誘導や癌幹細胞維持に関与するtransforming growth factorベータ(TGFβ)経路の活性化が抗VEGF抗体治療によって惹起されていることが確認された。これらのことから、抗VEGF抗体治療中の腫瘍における低酸素環境が、EMTや癌幹細胞の誘導を介して浸潤転移能を亢進させている可能性が示唆される。そこで、抗血管新生治療により生じる低酸素環境の評価を、HIF-1, HIF-2の免疫組織化学染色により行ったところ、抗VEGF抗体治療群において有意にHIF-1αタンパクの核内移行が確認された。次に大腸癌幹細胞マーカーとしてCD133, CD44, ALDH1の免疫組織化学染色による評価を行ったところ、抗VEGF抗体治療群でALDH1陽性細胞の増加がみられた。
すべて 2012 2011 2010
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (24件)
Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol
巻: 302
J Surg Res
巻: 169 ページ: 137-43
Int J Clin Oncol
巻: 16 ページ: 741-5
10030247679
Cancer Sci
巻: 102 ページ: 883-9
10029292808
消化器内科
巻: 53 ページ: 632-8
Journal of Surgical Research
巻: 169 ページ: 137-143
Cancer Science
巻: 102 号: 4 ページ: 883-889
10.1111/j.1349-7006.2011.01872.x
巻: 53 ページ: 632-638
PLoS One
巻: 5
Gastroenterology
巻: 138 ページ: 1406-17