研究課題
若手研究(B)
自然発症で得られた Sd 変異マウスは、 脊椎欠損、 鎖肛(Suda H, Lee KJ,Semba K. et al. Pediatr Surg Int. 27:269-273. 2011)、腎臓欠損を呈し、ヒトの尾部退行症候群のモデル(Ando T., Semba K. et al. Mech Dev. 128:129-40. 2011.)であるが、Sd 変異マウスの原因遺伝子は、1930 年の初回報告より 80 年以上経過しているにもかかわらず発見されなかった。 しかし、 我々の研究グループが同定、 報告した Skt 遺伝子(Semba K. et al. Genetics.172:445-456. 2006.)をもとに、1. Sd 変異マウスに対するポジショナルクローニングと原因遺伝子座領域に対する詳細なスクリーニング、ショトガンシークエンス、ゲノムアッセンブリー解析、2.発見した挿入変異の本体であるレトロウイルス配列(Early Transposon: ETn)の人工的な挿入変異の再現とそのマウスの作出実験、3. Sd マウスより樹立した変異 ES 細胞を使用した候補遺伝子領域(Ptf1a/アンチセンス RNA)の破壊実験とその遺伝子破壊マウスの作出実験、4.破壊した2つの候補遺伝子である Ptf1a とアンチセンス RNA(non-coding RNA)をそれぞれノックインすることによる Sd 表現型のレスキュー実験、5. Sd 変異胚より得られた RNA と DNA アレイを使用した遺伝子発現プロファイリング解析によって得られた情報をもとに、Ptf1a 強制発現による Cdx2 シグナルパスウェイに対する影響の検討を行った。以上の解析結果より、Sd 変異の病因は脊椎欠損に先行する脊索の変性であり、正常発生では膵臓と神経細胞の前駆細胞にしか発現を認めない膵臓発生、神経発生に必須である転写因子 Ptf1a の発現制御領域への ETnの挿入が、Sd 変異胚の脊索、cloaca、後腸、中腎管で Ptf1a を異所性発現させていることを示した。加えて、我々のグループが行ったこの一連の研究で、胚生期の脊索、cloaca、後腸、中腎管に異所性発現した Ptf1a が Cdx2, T, Wnt3a, Cyp26a1 を抑制し尾部退行を引き起こすという原因メカニズムの端緒を得ることができた(Semba K. et al. PLoS Genet. 9:e1003204. 2013.)。
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http://irda-genetics.kuma-u.jp/research/r06.html