抗潰瘍薬であるテプレノンをヒトに投与し、Hsp70を誘導することで周術期の臓器保護効果が認められるかを検討したに役立てる研究を行った。ボランティアにテプレノン150mgを内服させ、内服後4日間に亘って末梢血中のHsp70の誘導を検討したが、Hsp70は検出限界以下であった。腰椎手術予定の患者8人をテプレノン内服群(術前3日前)とコントロール群に割り付け、炎症反応やサイトカイン、臓器障害の指標を比較した。その結果、内服群ではIL-6の低下が早い傾向にあった。これはテプレノンの経口投与で、臓器保護効果を得られる可能性を示唆する。今後は症例数を増やしてさらに検討し、内服群でHsp70の誘導を証明することが課題で必要がある。
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