研究概要 |
この研究の目的は,レーザー照射による根管内洗浄作用のメカニズムを解明することと安全性を確認することである。高速度カメラを用いてEr:YAGレーザーを照射した際の蒸気泡とキャビテーション気泡を,水中内およびガラス製模擬根管内で可視化した。さらに,ガラスビーズのトレーサーの動きを根管モデル内で捉えた。円錐型と平坦型のチップでは,蒸気泡の形状と存続期間が異なっていた。根管模型内では,蒸気泡は根管壁に沿って上下に大きく変化し,その後に多数のより小型のキャビテーション気泡の形成と崩壊が繰り返し観察された。トレーサーを用いた解析では,レーザー照射によって根管内には急速な撹搾作用が生じることが明らかとなった。また,模擬根管内でレーザー照射を行った時の根尖方向への圧力を測定したところ, 2-3MPaの圧力が生じることが分かった。以上の結果は, Er:YAGレーザーによる根管内洗浄のメカニズムは気泡の形成・崩壊による高速の液体の動きに依存している可能性を示唆している。円錐型チップを装着したEr:YAGレーザーは,根管内洗浄法として有望であると考えられる。
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