研究概要 |
本研究の目的は,上顎無歯顎の上顎骨切除患者を対象とし,義歯安定剤使用による咀嚼機能への効果を調査することである.アラマニー分類I,IIおよびIVの上顎無歯顎の上顎骨切除患者(義歯安定剤非使用群,10名)を被験者とし,義歯安定剤使用による咀嚼混合能力への効果を調べた.咀嚼混合能力値(MAI)を調べるため,混合能力試験を実施した.はじめに義歯安定剤を使用せずにMAIを調べ,その後義歯安定剤を顎義歯粘膜面に塗布し,MAIを調べた.その結果,義歯安定剤使用により,MAIの中央値が-0.50から0.02に上昇し,統計学的有意差を認めた(P=0.009).本結果よりアラマニー分類I,IIおよびIVの上顎無歯顎の上顎骨切除患者の顎義歯に義歯安定剤を使用することで咀嚼混合能力が改善されることが示唆されたが,本研究結果は義歯安定剤を推奨するわけではない.
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