研究概要 |
2010年度は,in vitroにおける上皮-間葉相互作用を重層共培養法で再現し,間葉系細胞を播種した後,エナメル芽細胞を間葉系細胞の上に播種するときれいな上皮コロニーが形成された.そこで,間葉系細胞へ歯の形態形成に関与するツールキット遺伝子であるShhやWnt遺伝子を導入し,同様の実験を行い,ShhやWntがエナメル芽細胞に与える影響も解析した. 2011年度も解析を継続し,ShhやWnt遺伝子を導入した間葉系細胞をフィーダー細胞に使用すると,エナメル芽細胞のコロニー数が有意に増加し,コロニーの最大直径は有意に増大した.また,間葉系細胞をマイトマイシンCで処理した後にエナメル芽細胞を重層すると培養2週後にエナメル芽細胞の細胞塊が形成された.ShhやWnt遺伝子発現群では有意にその細胞塊が増大し,細胞分化を調節するNotch1遺伝子の発現が抑制された.Wntは,エナメル芽細胞のRunx2/Cbfa1の発現を完全に抑制した.さらに本年度は,コラーゲンを移植用担体に間葉系細胞とエナメル芽細胞の複合体を作製し,ヌードマウス背中皮下に複合体を移植したが,癌化する傾向にあり,歯の再生には至っていない.
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