研究課題/領域番号 |
22800055
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
弓場 英司 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80582296)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
3,146千円 (直接経費: 2,420千円、間接経費: 726千円)
2011年度: 1,508千円 (直接経費: 1,160千円、間接経費: 348千円)
2010年度: 1,638千円 (直接経費: 1,260千円、間接経費: 378千円)
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キーワード | pH応答性高分子 / リポソーム / 膜融合 / 樹状細胞 / 細胞質デリバリー / 多糖 / 細胞障害性T細胞 / ナノワクチン |
研究概要 |
本年度は、多糖を主鎖骨格とするpH応答性高分子とリポソームを複合化したpH応答性リポソームに着目し、その高分子構造を最適化することで、免疫システムを効率良く活性化できるシステムについて検討を行った。 デキストランにpH応答性基及び長鎖アルキル鎖を導入することで、生体適合性の高い主鎖骨格を有するpH応答性高分子を合成した。この高分子を修飾したリポソームは、そのpH応答性基の導入率の増加に伴い、より微弱酸性領域で脂質膜を不安定化し、封入したモデル薬物を放出することができた。これらのリポソームにモデルタンパク質・オブアルブミン(OVA)を内包し、DC2.4細胞に取りこませたところ、pH応答性多糖を修飾したリポソームはDC2.4細胞の細胞質中にOVAを効果的に運搬した。細胞による取り込み量はpH応答性基の導入率の高い多糖修飾リポソームほど高かった。これらのリポソームを、OVAを抗原として発現するE.G7-OVA細胞を播種し腫瘍を形成させたC57BL/6マウスの背部皮下に投与したところ、pH応答性多糖を修飾していないリポソームを投与したマウスでは、腫瘍が未処理群と同様に成長したが、pH応答性多糖を修飾したリポソームを投与したマウスでは、腫瘍が縮小し、一部では完全に消失したマウスも見られた。これは、pH応答性多糖を修飾したリポソームが、皮下の免疫担当細胞に取り込まれた後、細胞内の酸性小胞において不安定化し、内封したOVAを細胞質に導入した結果、抗腫瘍免疫を強力に誘導したためであると考えられる。 このように、本年度は新規なpH応答性多糖を合成し、これをリポソームと複合化させることで、免疫担当細胞内に効率良く抗原タンパク質を導入し、強力な抗腫瘍免疫を誘起できる高性能pH応答性リポソームを構築することに成功した。
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