近年経済先進諸国で貧困が再発見され、最低限生活保障の見直しが求められている。本研究の目的は、日米の公的扶助の支給に関する様々な条件(コンディショナリティ)の特徴を明らかにし、かかる条件をもつ公的扶助の正統性について考察することである。 公的扶助の条件は、利用者の自由や自律に制約を設け、スティグマ付与など貧困の質的側面に否定的な影響を与えている。この条件を構成する各要素や要素の組み合わせは日米で異なるが、十分に議論して計画されてはおらず正統化することが難しい。また、自助や義務に関する規範の反映は、より広い貧困対策全般のなかでとらえ直す必要がある。
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