研究概要 |
本研究は,流域という一体的な空間的圏域を単位として,対象とする流域圏における社会経済的活動と環境への影響を総合的な視点から定量的に分析し,海域との相互関係を包括的に捉えた物質フローバランスを評価することで望ましい流域圏再生政策について検討することを目的としている.本年度は,対象とする東京湾流域圏に関する分析のための環境・経済システムモデルの構築を念頭に置き,対象年代の選定およびモデル分析のために必要となる主なデータの収集を行った.まず,過去の対象年代をプロト工業化時代としての明治時代とし,現在との比較分析を行うこととした.データに関しては,主に地形図や海図をもとに明治時代の東京湾流域における陸域空間情報を収集した上でデジタルデータとして整理を行い,海岸線の推定および流域圏の設定を行った.そして同圏域内における土地利用情報の収集および同デジタルデータの構築と,これに基づいた土地利用のパタンと定量的解析を行った.また,社会経済データの収集にも着手し,対象地域および対象年代の人口や漁業などを含む経済データに関する文献や資料の調査とデジタルデータ作成のために,これらのデータの整理を行った.以上の各種のデータ収集および整理とあわせ,陸域と海域を統合した物質フローバランスモデルの枠組みに関して検討を行い,陸域における物質フローシステムと海域への環境的インパクトについて考慮したプロトタイプモデルを構築した.
|