本研究はハンセン病回復者の生活支援の社会的基盤形成について、国立療養所、基礎自治体、地域との関わりに着目し、全国13園の入所者自治会へのアンケート調査およびヒアリング調査から現状と課題を考察した。基盤形成としての「療養所の地域開放」には具体的展開もみられるが、他方で将来構想に関する国の消極的な取り組み姿勢、入所者の高齢化による自治会運営の困難、社会の側のハンセン病問題基本法に対する理解の不十分さ、地域から療養所までの交通アクセスの不便さなどの地理的環境、地域開放に対する療養所入所者の感情への配慮などの課題がある。
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