研究概要 |
本研究では,低温原子分子反応の実験的観測を通した宇宙の分子進化過程の解明,及び超低エネルギー衝突における量子的な反応ダイナミクスの解明を目指して『高速中性粒子ビーム源』の開発を行っている.具体的には,一価の負イオンビームに対してレーザーを照射して光電子脱離を誘起し,中性粒子ビームを生成する計画を進行中である. 平成23年度は研究計画の第2年目(最終年)となる予定であったが,本研究は4月27日をもって科学研究費補助金-若手研究(B)へ採択され,より発展した研究計画として引き継がれることとなった.本年度はセシウムスパッターイオン源から引き出した負イオンビームの輸送軌道シミュレーションを行うとともに,実際のイオンビームに光脱離用レーザー(Nd:YAGレーザー,波長532nm)を照射して中性ビームを生成し,ビームプロファイルの測定・最適化等を行う計画となっている.現在まで,軌道シミュレーション,及び負イオンビーム源,Nd:YAGレーザーの調整が終了しており,中性ビーム生成に向けた準備がほぼ整った状態である.このような基盤技術,設備の構築により,極低温領域における原子分子衝突実験の実現へ大きく前進した.
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