研究課題
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RalはRalAおよびRalBからなるRas類似の低分子量GTP結合蛋白質である。近年の多くの知見は、発癌性Rasにより誘導されるヒト正常細胞の癌化には、Ras下流でのRalAの活性化が必須であることを示している。しかしながら、RalAの活性化がどのようにして細胞の癌化をもたらすのか、その分子機構については明らかでない。本研究では、低分子量GTP結合蛋白質RalAの活性異常による細胞癌化の分子機構を明らかにすることを目的とした。本年度は新規RalA標的蛋白質の同定を試み、ラット脳よりGTP型RalAに特異的に結合する蛋白質を見いだすことに成功した。本蛋白質は複合体として存在していると考えられ、硫安沈殿分画、陰イオン交換カラム、ハイドロキシアパタイトカラム、陽イオン交換カラム、およびゲル濾過カラムにより収量を損なうことなく分離できることが分かった。これらの精製過程を組み合わせることで本複合体を単一にまで精製することが可能であると考えられる。現在までRalA特異的に結合する標的分子の報告はない。新規RalA標的蛋白質の解析は細胞増殖を担う新たな細胞内シグナリング径路の解明につながる可能性がある。また、Ras依存性癌細胞の増殖や転移を抑制するような新たな薬剤の開発にもつながりうると期待される。
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Molecular Biology of the Cell
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http://www.idac.tohoku.ac.jp/dep/mcb/index.html