研究概要 |
パーキンソン病患者サンプル64例を8×8のマトリックスに配置し,各8行各8列についてサンプルをプーリングした.候補となるライソゾーム遺伝子6遺伝子について,それぞれのプールDNAをPCRにて増幅し(合計24kb相当の領域),ライブラリーを作成し,IlluminaGAIIxシングルエンド100塩基の解析にて各ライブラリーあたり1レーン相当の解析を行った.アレルあたり1,000~2,000のdepthに相当する塩基配列が得られた.dbSNPに多型として登録のない変異に着目して,マトリックスによる整数計画法を用いて変異とそのサンプルを同定した.検索した範囲で3個の変異が同定され,いずれも64例中1例にヘテロ接合性に認められた.うち1個の変異はライソゾーム病の病原性変異として報告のある変異であり,うち2個の変異は多型・病原性変異データベースに登録のない変異だった.これらの変異が真の変異かどうかを直接塩基配列決定にて解析したところ,いずれの変異・サンプルとも正しいことを確認できた.本解析により,(1).十分なdepthがあれば,8サンプルのプーリングは変異同定において現実的な手法である.(2).整数計画法によるエラーの補正は有用である.(3).マトリックスによるプーリングによってバーコードを用いずにサンプルと変異の対応が可能であることが示唆された. 今後は,変異を認めた遺伝子について,さらに大規模なサンプルで塩基配列解析を行い,パーキンソン病の遺伝因子検索を進める.
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