研究概要 |
【背景】既存の小口径人工血管の開存率は低く臨床上問題になっている。開存率の向上には、迅速な内皮化と新生内膜肥厚の抑制が重要であると考えられている。本研究では、内皮細胞に親和性の高い4型コラーゲン由来のCAGペプチドを見いだし、それを付与した人工血管を開発し、その効果を検証した。【方法】ラット頸動脈人工血管(内径0. 7 mm)置換モデルを用いて、術後1, 2, 6週後に取り出し、組織学・生化学的に評価した。【結果】CAG含有小口径人工血管は、CAGを含まない群に比して、各週ともに、有意に内皮化率が向上していたCAG vs C : 64. 4±20. 0% vs 42. 1±8. 9% at 1 week P=0. 017, 98. 2±2. 3% vs 72. 7±12. 9% at 2 weeks P=0. 001, and 97. 4±4. 6% vs 76. 7±5. 4% at 6 weeks P<0. 001)。Western blotでは、1週においてeNOSの発現がCAG群で高く(CAG vs C : 1. 20±0. 37 vs 0. 34±0. 16, P=0. 013)、6週においてαSMAの発現がCAG群で有意に低かった(CAG vs C : 0. 89±0. 06 vs 1. 25±0. 22, P=0. 04)。【考案】CAG含有人工血管は内皮化を促進できるとともに新生内膜肥厚も抑制できる可能性があり、小口径人工血管の遠隔期開存率改善の可能性が示唆された。
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