研究概要 |
肝疾患患者の栄養状態は発癌率や予後,QOLを規定する重要な因子である。従来の栄養療法としては,肝疾患の進行に伴い蛋白質・エネルギー低栄養状態を是正するため,高たんぱく・高エネルギー食が推奨されてきた.しかし,生活習慣の欧米化に伴い,糖尿病,肥満,メタボリックシンドロームを基盤に発症する肝硬変や肝細胞癌の増加が問題となっており,肝炎患者においても過栄養状態の患者の存在が注目されている. 近年,BMI高値群のウイルス性肝炎患者では肝細胞癌のリスクが高まっていることが明らかになっており,肥満および肥満関連病態が発癌のリスクをさらに高める可能性がある.そのため,とくに肥満肝炎患者に対する減量を中心とした栄養療法や運動療法は,肝発癌のリスクを低減するために極めて重要である. しかし,肥満を改善するためのプログラムは存在せず、患者が減量に関するセルフマネジメント能力を十分に獲得できていないことが推測される.そこで,肝炎患者の栄養状態,栄養に関する自己管理の実態と栄養指導へのニーズを調査し、実現性の高い肝硬変への進行抑制および発癌予防を目指した肥満の是正のためのセルフマネジメントプログラムへの基礎資料を得ることとした. 本年度は,研究計画の概念枠組み・研究計画の洗練,施設へ研究協力の依頼,研究対象施設の倫理委員会に申請し承認が得られたところである.今後は,C型肝炎患者を対象に,自記式質問紙調査および診療録調査を実施予定である.
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