研究概要 |
本研究計画では変形性関節症(OA)におけるToll-like receptor(TLR)シグナルの役割を検討するために、研究材料としてOA患者の人工膝関節置換術の際に得られる骨軟骨組織を用いた。なお、関節軟骨および軟骨下骨の正常対象として、手術時に得られる骨軟骨組織の内OA変化のない関節軟骨およびその軟骨下骨を用いた。平成22年度においては、OA関節軟骨および軟骨下骨におけるTLRの発現と局在を明らかにするために免疫組織化学による検討を中心に行い、OAにおいては関節軟骨細胞におけるTLR-2,TLR-4を介した炎症シグナルが病態形成において重要な役割を果たしている可能性を示した。 平成23年度は培養細胞を用いた実験をメインに、OA関節軟骨細胞および軟骨下骨細胞におけるTLRシグナルの役割を解明する予定であり、実験を開始した。TLRシグナルの活性化を調べるにあたり、培養細胞をTLRリガンド非刺激下でタンパク抽出を行い、ウェスタンブロットを行った。TLR-2,TLR-4は関節軟骨細胞、滑膜細胞に発現していたが、TLR活性化の指標となるNFkBの活性化はほとんど認められなかった。次にTLRの代表的なリガンドであるLPSにて刺激したところ、NFkBの活性化が認められた。今後、研究計画に従ってさらに実験を進めていく予定であったが、平成23年度の基盤研究Cに応募していた研究計画が採択された(研究課題:自然免疫を制御するToll様受容体シグナルによる骨軟骨破壊機序の解明;研究代表者:中島新)。このため平成23年度の研究活動スタートアップ支援の補助金廃止手続きを取ることになった。 今後は先述の基盤研究Cの研究課題につき、研究を進めていく予定である。
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