研究概要 |
本研究は、中高年女性に好発するシェーグレン症候群の患者の家事労働を含む仕事や生活全般および療養生活のワークライフバランスの実態について困難な点、工夫している点などを明らかにすることで、慢性疾患を持ちながら生活する中高年女性と彼女らの職場や家族などへの理解を深める健康支援を検討することを目的として行った。平成22年度は、半構造化インタビューを用いた質的記述的研究を行った.その結果30歳代から70歳代の8名の女性から協力を得た診断を受けて病気の受け入れまでの体験として自分自身との葛藤の期間があり,その期間に【複数の受診科と頻繁な受診】【症状も精神的にも安定しない状況】,さらに【治らない病気になってしまった絶望感】という思いを体験していた.その後,病気と向き合うという受け入れの心境として【症状への対処法の構築】が出来,【仕事や生活のバランスのセルフコントロール】が出来るようになっていた.そしてシェーグレン症候群という疾患を抱える女性達のセルフヘルプ機能が【疾患との付き合い方として参考】とな,さらに【社会や家族から孤独にならないような働き】を担っていた.シェーグレン症候群の健康支援は,早期の介入が重要であり,セルフヘルプ機能が発揮できるような内容が必要であることが示唆された.平成23年度では、インタビュー結果をもとに調査表を作成し、412名を対象に質問紙調査を行った。結果、316名から回答が得られた。アウトカムである抑うつ尺度(CED-D)得点は、平均23.0(SD11.1)であり、抑うつ状態にある人が多いことが明らかになった。そこでCED-Dの結果と関連のあった項目は【療養生活において楽しめること】【レイノー現象】【疲れによる仕事への影響】【周囲の理解不足】【趣味などの行動制限】であった。身体症状をセルフコントロールし、生活を楽しむ能力を身につけることが抑うつ対策として重要であるといえる。
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