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遠藤周作における戦後意識形成過程を探る基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22902011
研究種目

奨励研究

配分区分補助金
研究分野 国語・国文学
研究機関長崎市遠藤周作文学館

研究代表者

池田 静香  長崎市遠藤周作文学館, 長崎市遠藤周作文学館, 学芸員

研究期間 (年度) 2010
研究課題ステータス 完了 (2010年度)
配分額 *注記
500千円 (直接経費: 500千円)
2010年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
キーワード遠藤周作 / 第二次世界大戦 / マルキ・ド・サド
研究概要

申請者は、主に遠藤周作が作家を志したフランス留学(昭25~28年)から『沈黙』(新潮社昭41年3月)上梓までの間に、彼が中心的な執筆意図として抱えていた「「戦中派」の戦後の生き方」という問題に考察の焦点を定め、国立国会図書館・日本近代文学館等を利用し、昭和20年~昭和30年代までの遠藤の著作を出来る限り収集することに努めた。その調査の中で、遠藤がフランス留学中に興味関心を示し帰国後はサド論を書きたいとまで考えながらその生涯のなかでもかなわなかった「サド」への興味・理解にのなかに、遠藤が戦中派として体験した第二次世界大戦を乗り越える可能性を示し、またその思想と格闘していることが具体的にわかった(「遠藤周作にとっての「悪」-昭和30年代までの戦争への態度とサド理解を中心に」(「遠藤周作研究」第3号に発表)。また一方で、遠藤の著作のなかで「第二次世界大戦」を扱ったものを収集、整理することに努めた。その成果として、フランス留学中の「フォンスの井戸体験(注、第二次世界大戦下で行われた同胞虐殺事件のあった井戸)」を元にした『青い小さな葡萄』(「文学界」昭30年1~6月号)だけでなく、遠藤が文学的回心をするきっかけとなり加えて『沈黙』を書くための母体ともなったと言われている生死の境をさまよった大患(昭35~38年)を中心的な素材とした『満潮の時刻』(「潮」昭40年1~12月号)にも、作家が「第二次世界大戦を戦後文学としてどう描くのか」という流れのなかで『沈黙』へと筆を進めていったであろう軌跡を見出し、その変遷を朧ながら明らかにした(「「呻き声」の彼方-『沈黙』への道」(「九大日文」第17号に発表(※印刷中))。一年間という限られた時間のなかでの作業ではあったが、遠藤周作という一人の作家が小説家としての出発期に抱えた「戦争をどう乗り越えるのか」という問題意識の変遷を詳らかにする土台を形成することに努めたことは、それがとても小さな第一歩だったとしても、今後遠藤文学研究に新たな視座を導入するきっかけとなるはずだと考える。

報告書

(1件)
  • 2010 実績報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] 「呻き声」の彼方-『沈黙』への道2011

    • 著者名/発表者名
      池田静香
    • 雑誌名

      九大日文

      巻: 17(印刷中)

    • NAID

      40018821599

    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 遠藤周作にとっての「悪」-昭和30年代までの戦争への態度とサド理解を中心に2010

    • 著者名/発表者名
      池田静香
    • 雑誌名

      遠藤周作研究

      巻: 3 ページ: 42-54

    • NAID

      40017360646

    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
    • 査読あり

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公開日: 2010-08-23   更新日: 2016-04-21  

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