中学校新学習指導要領において、技術・家庭科(技術分野)は、「A材料と加工に関する技術」、「Bエネルギー変換に関する技術」、「C生物育成に関する技術」、「D情報に関する技術」の4つの内容に分類された。現段階において、これら4つの内容を統合させた市販教材は存在しない。そこで、「ものづくり」を中心に、4つの要素を含み、また、それぞれの内容を関連づけた教材開発を行い実践した。内容は次の通りである。 1、ボイラー船の設計:コンピュータを活用し、ブリキ板から立体である船を設計し、展開図を作成する。 2、ボイラー船の作成:代表的な金属加工法である、塑性加工、切削加工、溶接の学習をする。 3、植物の栽培:サツマイモを育て、植物育成の基礎知識を学習をする。 4、バイオ燃料の精製:3で育てたサツマイモを発酵させ、燃料(アルコール)を精製する。 5、ボイラー船の実走:自分で設計し、作成した船を、自作の燃料で走行させる。 本教材の中心となるボイラー船は、多くの学校で教材として採用されてきた。今回は特に、3、4で扱う植物の栽培からバイオ燃料の精製に重点を置いた。サツマイモを育て、収穫する。加熱後、水、麹、酵母とともに瓶に入れ、発酵させる。さらに濃度を上げるために、蒸留し、アルコール濃度約60%のバイオ燃料を精製する。このバイオ燃料により、前述したボイラー船を走行させ、エネルギー変換に関する実体験をさせた。 また、本教材では、これまでのような、1つまたは2つの内容のみ学習できる教材に比べ、4つの内容すべてに渡っての学習が可能であり、それぞれの内容を関連づけることによる教育効果、および年間35時間(3学年は技術と家庭を合わせて35時間)の限られた授業時間での教育効果が期待できる。
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