研究課題
奨励研究
理科離れが言われて久しい。しかも中学・高等学校では「ゆとり教育」の名のもと理科の基本である観察や実験が削減されてきた。この結果、電気系においては電磁気学の修得が必要不可欠であるにもかかわらず、電磁気現象の体験が不十分なため、理論をイメージ化できる学生が少なくなっており、教科書の中だけの世界と考える学生も増えている。このような状況を改善し、高校教育から大学の専門教育への導入的教科の果たす役割が重要となり、多くの大学で様々な工夫が試みられている。本学でも学生の自主性を伸ばすような授業がもとめられており、大学教育実践センターより「新授業開発プロジェクト」の提案が求められている。申請者は21年度の奨励研究で採択された「『見える電磁気』教育支援プログラム」を発展させたものを、新型授業として提案し、開講科目である「電気物理学A」で演示実験を中心とした授業を実践した。そして授業後のアンケートおよび学生の出席状況より高い有効性を確認することができた。感想で寄せられた意見で特徴的なものは「教科書の中だけの世界と思っていたものが現実に現れた」というものであった。具体的な演示実験は、銅板の上に音を立てずに着地する磁石を観察したり、簡単なモーターがローレンツ力だけで回転したり、LEDの付いたコイルでIHヒーターが発する磁場を視覚的に観察するものである。このような演示実験をとおして知的好奇心をかき立てるだけでなく、日常の中で応用されていることを実感し、学習に対する意欲を喚起させ理解度を本物にする試みであった。このような実験プログラムは高校生を対象としたオープンキャンパス(2010.8.10)や、本学湯川記念室主催のSaturday Afternoon Physics 2010 (2010.10.16)でも行い、さらに工学研究科と連携協力協定を結んでいる高知県佐川町の4つの小学校(2010.9.6-8)で,そして、理科を楽しく教えられるようにと「小中学校の先生を対象にした理科教室」(2010.7.24電気学会関西支部主催)でも行い、子ども達から大人まで電磁気を身近のものとして認識できることで、教育効果が非常に高いものであることを確認するとともに、このような実践が理科教育の現場で広く取り入れられることを期待するものとなった。
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Applied Physics Express
巻: 3
Materials
巻: 3 ページ: 4939-4949
J.of Nonlinear Optical Physics & Materials
巻: 19 ページ: 571-581
http://www-yukawa.phys.sci.osaka-u/ac.ip/SAP/
http://www.eng.osaka-u.ac.jp/ja/partnership/exchange_03.html