研究概要 |
本研究では、通常の太陽光発電に用いる太陽電池モジュールが発電効率の低下をまねく原因の一つであり、日光によるモジュール温度上昇を抑えることで発電効率の向上が可能であるか検討を行った。同時に、温度差を電気エネルギーに変換可能なペルチェ素子を併用し、冷却時の温度差を電気エネルギーに変換することで太陽エネルギーの効率的なエネルギー変換システムについての検討を目的として実験を行った。 実験の結果、製作した実験装置で冷却に水道水を用いて冷却した場合、日光において10[℃]程度の冷却効果が実現できているため、発電電力全体の約4[%]を改善することが可能であると考えられる,また、この際に15[mW]とわずかではあるがペルチェ素子による発電を確認することができた。 その後、夏場70[℃]程度まで上昇する太陽電池モジュールを再現するため、人工光源を使用して90[℃]程度まで温度を上昇させて実験を行った結果、ペルチェ素子により最大で240[mW]程度まで発電し、太陽電池モジュールの発電効率の改善も同様に4[%]程度確認することができた。これらの実験には、200[mm]四方の単結晶化型太陽電池モジュールを用いた。 これらの実験により、太陽電池モジュールを冷却し発電効率の改善を図ることが可能であり、冷却時にペルチェ素子を介することで更なる電気エネルギーへの変換が可能であると言える。また、冷却水を循環させることで温水器としての利用も考えられる。 この実験を通し、太陽電池モジュールの発電量や背面温度の測定方法を、本校にて卒業研究を行っている学生に対して実物を用いて測定方法の指導することができ、実験装置の教育効果としての役割も果たすことができた。
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