ササユリの学名は、Lilium Japonicum Thunbであり、日本の山林に自生するユリ科の植物である。ササユリは、和歌に詠まれるなど古くから人々に親しまれてきた。自生地は、本州中部以西であり、生育の北限は能登半島である。本県では、広く自生が見られ、群生しているところがたくさん見られた。しかし、近年、個体数が著しく減少している。その原因は、山野草の栽培ブームなどから乱獲されたことや山林の開発が進み、自生地が消滅したことなどが挙げられる。また、中山間部では高齢化が進んだことによって山林所有者が管理できなくなり、自生地の環境が悪化したことなども個体数の減少に拍車をかけている。今後もこの状況が続くことが予想され、絶滅が危惧されている。 本研究では、本校の植物バイオテクノロジー関連実験施設を活用し、球根の大量増殖に取り組んだ。また、培養した球根は、鉢上げを行い、肥培管理している。しかし、栽培に関しては、管理方法が十分確立されておらず、球根を消滅させてしまうことが多い。そこで、ササユリの栽培方法を確立することを目指し、自然実生による栽培方法も含め、この研究に取り組んだ。特に、自生地の復元を目指すためには、自然環境下において、実生から球根を増殖していくことが不可欠であり、この点に重点をおき研究を行った。 本研究のポイントは、以下の5点である。 (1)組織培養による球根の増殖 基本培地は1/2MS培地。培養試験管及び培養瓶を用いて、球根の大量増殖を行った。 (2)自然実生による球根の増殖 種子を温度処理し、プランターに播種し、栽培管理を行った。 (3)栽培試験 (4)自生地の復元 地域住民、ササユリ保護団体等と協力し、自生地の復元と保全に努めた。 5鉢物としての商品化の検討
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