センチネルリンパ節シンチグラフィに用いられるSPECT/CT画像ではアイソトープを注入した部位の集積によるアーチファクトを認めることがある。このアーチファクトを減少させるために、放射線の隔壁通過が少ないコリメータを使用し、その有用性に関して検討を行った。LEHR (Low Energy High Resolution)コリメータとLMEGP (Low Medium Energy General Purpose)コリメータについて検討を行った。センチネルリンパ節シンチグラフィ用のファントム使用し、プラナ像における検討を行ったところ、LEHRコリメータはペネトレーションによるアーチファクトが発生したが、LMEGPコリメータはアーチファクトが発生しなかった。LEHRでは鉛板で遮蔽することによりセンチネルリンパ節のコントラストが向上したが、完全にはペネトレーションのアーチファクトを抑制することはできなかった。乳癌症例54例に対してプラナ像およびSPECT/CT像を撮像して検討を行った。LEHRコリメータでセンチネルリンパ節が同定できない症例はRI注入部位が腋窩に近いC領域の場合に多く見られた。センチネルリンパ節を同定可能だったのはLEHRコリメータのプラナ像のみでは52/54例(96.3%)、LEHRコリメータのSPECT/CT像のみでは51/54例(94.4%)、LEHRコリメータのプラナ像とSPECT/CT像で53/54例(98.1%)であった。LEHRコリメータでセンチネルリンパ節の同定が困難であった場合にLMEGPコリメータを使用すると、ペネトレーションによるアーチファクトが軽減され、LEHRコリメータで同定できなかったセンチネルリンパ節を同定することができた(54/54例、100%)。SPECT/CT像ではプラナ像のように鉛板での遮蔽ができないため、分解能が劣るがペネトレーションの少ないLMEGPコリメータを使用することにより、SPECT/CT像のアーチファクトが軽減され、センチネルリンパ節の診断能が改善された。
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