研究実績の概要 |
近年、水環境でマイクロプラスチック (MP) および医薬品・生活関連物質 (pharmaceutical and personal care products, PPCPs) の使用が増加しており、それらが環境中に流出して水生生物への影響が懸念される。本課題では、特別研究員がメダカを用いてMPとPPCPsの複合暴露による蓄積・排出動態を調べ、そのべクター効果を解明するとともに、行動影響を評価することを目的とした。本年度は、まず曝露・分析の技術習得のため、anthraceneを用い濃度を変えた50 um MPとの共曝露実験を行った。淡水ヒメダカ-ANT+濃度の異なる58-um PE-MP共曝露実験: ANT (200 ug/L) 、ANT+低濃度PE-MP (0.6 mg/L) 共曝露区、ANT+中濃度PE-MP (6 mg/L) 共曝露区、ANT+高濃度PE-MP (60 mg/L) 共曝露区を調整し、MPと1日平衡化を行った後、ヒメダカ (38尾/区) に曝露を行った。10日間曝露後、4日間排泄させ、10, 11, 12, 13, 14日目にサンプリングした。換水は半止水式 (1回/1日、全量交換) とした。得られたメダカ体内ANT体内濃度から、ベクター効果が確認された。ツインコンパートメントベクターモデルを用いて解析し、MP濃度による影響を検証した結果、MP濃度の増加とともにベクター係数は減少した。本成果は学会発表・論文へとつなげる予定である。また実験終了した農薬曝露による魚類行動影響評価の成果をとりまとめてもらい、論文投稿直前まで進んでいる。この後PPCPsで実験に進む予定であったが本人の事情で急遽帰国することとなり、現時点で予定の成果を上げることができなくなった。今後ネットを介して実験成果のとりまとめを行い、論文発表を進める予定である。
|